芦刈
歌詞
名に高き 難波の裏の夏景色 風にもまれし蘆の葉の ざわざわざわと音に聞く ここには伊勢の浜萩を 葦や蘆とは誰がつけし われは恋には狂わねど 恋という字に迷うゆえ さりとては 白鷺よとどまれとまれと 招く手風に行きすぎて またも催す浜風に 蘆も沢立ち磯の波 松風こそはざざんざ
解説
作詞作曲者不詳。
『大和物語』『拾遺集』などで知られる夫婦の物語を、知っているという前提で作られた作品。
生活に困った貧乏な夫婦が、互いに想い合いながら、生活のために別々に生きていく道を選ふ。その後何年かたち、妻は地頭の後添いとなり裕福となり、夫と別れた地に夫の行方を捜し訪れ、そこで、芦刈で生計を立てる貧しいままの夫と再会。短く和歌を交わしたのでした。
男が読んだ歌「君なくて あしかりけると思ふにもいとど難波の浦ぞ住みうき」
妻が詠んだ歌「あしからじとてこそ人の別れけめなにか難波の裏の住みうき」
花崎流には、全曲の振り付けと、『われは恋には~』以後からの振り付けがある。
この二人の夫婦の物語で恋の難しさを知った上で、振りは恋初めし少女の気持ちを表現しているという、多重構造の舞。