綾衣

歌詞

岸の柳に引き止められて 歩みならわぬ陸地をも 上りつ戻りつ幾たびか 一夜を明かす八軒家 雑魚寝を起こす網島の 告ぐる烏か寒山寺 尽きぬ話の種となりけん

解説

綾絹とは、綾を織り出した美しい絹のこと。

それをまとった女性を意味すると考えると、遊女のこととも考えられる。

「鶯も都の花にあいたけど、気は淀川へ上りふね」とあるが、これは鶯が都の花のもとに

飛んでいくように、都の恋人へ会いにゆきたいと、淀川から舟で京へ上りたいと気分が先立っていると

歌っている。だが、京への道はままならず、結局、伏見へ通う乗り合い船の発着所であった八軒家で夜を

明かしているのである。また、京の遊女が零落して大阪へ下り、舟を下りた八軒家で一夜を過ごすという解釈もある。