浮舟

歌詞

受けし一酒の里言葉 春咲く梅や藤波の よるべのぬしにせかれてせいて気は浮舟の仇枕

解説

同じ名前の曲に箏組歌の「浮舟」、京風手事物の「浮舟」もあるが、両者が「源氏物語」の途上人物、浮舟に取材するのに

対し、本曲は「源氏物語」から離れている。

紅葉が散り、紅く色づいた滝川という秋の風景によそえて、寄る辺のない遊女の心が歌われている。客との逢瀬、酌み交わす

盃など、気持ちが浮かれる一方で、仮初めの契りにすぎないという廓の哀愁が漂っている。「浮舟」との曲名が表すとおり、全体に

縁語、掛詞などが多用され、古雅な歌詞ならびに曲調である。