梅が枝さん

歌詞

梅ヶ枝さんはすとんと炬燵に腰をかけ 煙くらべん浅間山 けむり比べんあさま山

そらさぬ顔にて吹く煙管 今宵のうちに三百両 

出来るかえ 出来まする 

どうでも鎧を受け戻し お前の出世を待つわいな

解説

浄瑠璃の代表的作品「ひらがな盛衰記」のなかの有名な場面を端唄にしている。「ひらがな盛衰記」は長大な話ですが、その中の主要な登場人物梶原源太の出陣のために必要な産衣(うぶぎぬ)の鎧を請け戻すための金が工面できず自分を投げ捨てようとする源太の恋人梅ヶ枝がこの端唄の主人公梅ヶ枝さん。

もとは腰元、今は廓に身を沈めて源太を養っている傾城梅ヶ枝が質に入れている源太の鎧を請け戻すため、無間の鐘(むけんのかね)をついてでも三百両を得たいと思い詰める。無間の鐘というのは、静岡県にあったお寺で、その鐘をつくと、現世ではお金を手にできるが来世では無間地獄に落ちる、という言い伝えがある。庭の手水鉢を鐘にみたてて鐘の代わりに柄杓でうとうとした時、三百両のお金が空(二階)から降ってきます。客に化けていた母があたえたものでした。それによって源太は一の谷の合戦にはせ参じるのです。

 実際によく舞台にかけられる浄瑠璃で、その時の情景を振りで再現。