からくり的

歌詞

面白や 人の行来の景色にて 世はみな花の盛りとも 的のたがはぬ星兜 魁(さきがけ)したる武者一

騎 仰々しくも出たばかり そりゃ動かぬわ引けやとて かの念力にあらはれし 例の 鐘巻き道成寺 

いのらぬもののふわふわと なんぼうおかしい物語 それは娘気これはまた 曲輪をぬけた頬冠り おや

まの跡の色男 立ち止まりてはあぶなもの 見つけられたる泡雪の 浮名も消えて元の水 流れ汲む身に

あらねども 変わる勤めの大鳥毛 台傘立て傘 挟みばこ みな一様に振り出す 列を乱さぬ張り肱の 

堅いは実にも作り付け さてその次は鬼の手のぬっと出したは見る人の 傘つかむかと思はるる それを

笑いの手拍子に 切狂言は下がり蜘蛛 占(うら)良し 日良し道しるべ よい事ばかりえ

解説

「からくり的」(機関的)とは、小さな弓で的に矢を当てると、様々な人形が天井から落ちてきたり、的が裏

返ったりして現われる仕掛けのことです。 舞の中では、からくり人形のフワリフワリした不安定な動き

やカタカタとゼンマイ仕掛け人形の動きの面白さが軽妙に表現されています。 また、的に当たって出て

来る人形も様々で、那須与一を思わせる星兜を着た武者・道成寺の清姫・廓を抜けた遊女と頬冠りの男・

一糸乱れず整然と進む大名行列・羅生門の鬼の手・そして…最後は、吉祥を現す下がり蜘蛛を出して締め

くくります。