三国一

歌詞

三 国一のサアサア富士山 たま椿のオイヤア 八千代までもと契りしに 西国巡礼

サアサご詠歌 父母のオオイ 恵みも深き粉河寺 さりとはつらや サアサさながら

たらちねのオオイ 怨みも深きふくれ面

解説

作詞・作曲不詳

この曲は京都の壬生狂言に依るもので、毎年三月洛西壬生の地蔵堂で行われる念仏狂言で、 鰐口を叩いて拍手として無言の所作をするもので、俗に壬生狂言といわれている。この狂言 の第一とされるものが「桶取」である。これは壬生寺近くに住むお大尽が、毎日桶に水を汲 み仏前にお供えに来る美しい女性を見初め、女を口説く。それを知った大尽の妻が嫉妬した ので、女は巡礼に出、男も追って行く。後に残った妻が自分の不器量を嘆くという筋だが、 女の巡礼先は紀州の粉河寺、西国二番の札所で、「父母の・・・恵みも深き・・・」の詠歌に対し、 女房は父母を恨むという対照にされてあるところが作者のミソであろう。つい明治ころま で壬生狂言のしきたりどおり最後にほうらくをぶつけて破ったものだが、客席に飛ぶと危 ないので扇に代えている。

出典

日本舞踏名曲集事典 小学館