残月

歌詞

磯辺の松に葉隠れて 沖の方へと入る月の光や夢の世を早う。覚めて真如の明らけき 月の都に住むらん。今は伝てだに朧夜の月日ばかりは廻り来て。

意訳

海辺に生える松林の葉に隠れながら、沖の遠く水平線に消え入る月の、かすかな光、あっと いう間に過ぎてしまった夢のような日々に似ている。目覚めると真実は明らかになってい るもうあなたは天国のあるという月の世界にいるのだ。だから今夜のような朧月では伝え さえない。静かに月ばかりが過ぎていくのだ。

解説

作曲は峰崎勾当。

大阪宗右衛門町松屋某の女が若くして没したのを追善して作られたもので法名の「残月信 女」にちなんで曲名が付られました。手事部に比重があるが歌の部分も歌意の表現とフシの 技巧と双方において難曲、大曲と言えます。若くして早生した女性の命の儚さを、月の明か りをモチーフに追善し、慰める名曲です。

地唄紹介ページより抜粋