大仏

歌詞

大仏の妹背は京と奈良坂や 児の手柏の両面 窓から窓の垣間見に 囁く声もこだまして 聞いていよとも耳塚に 何の遠慮も太しき柱 互いに手に手をのばし合して抱きしめて 穴を忍び路潜らばくぐれ 鳥はものかは釣り鐘さえも 撞かぬ夜明けとまた布団着て 寝たる姿や東山

解説

・峰崎勾当による地歌

・歌詞の内容は、豊臣秀吉が天正八年(1586年)に創建した方広寺大仏と東大寺大仏

の関係を男女の仲になぞらえたもの。方広寺にまつわる地名・事柄を上手く歌詞に盛り込

み、服部嵐雪の句「布団着て寝たる姿や東山」で方広寺周辺の景色を詠み込む。

・「児の柏の両面」とは、「万葉集」にて「奈良山の児の手柏の両面にかにもかくにも

ねじけ人の徒」と歌われた慣用句。植物のコノテカシワの葉に表裏の区別がないことから

、「児の手柏の両面」は両面両様あることを意味する。「児手柏」は、いずれとも定まら

ない様子、心や行動に表裏のある様子を表す慣用句。

【参考資料】

・https://ja.wikipedia.org/wiki/方広寺#方広寺が描かれた作品

・『日本舞踊曲集成2 京舞・上方舞編 〈別冊演劇界 伝統芸能シリーズ〉』(2005年、

演劇出版社)